「セ、セクハラです。近すぎます。もっと離れて下さい。総帥とさっき約束しました……て、適切な、きょ、距離を……」

「約束なんて意味ないね。お前を連れ戻した段階からスタートなんだよ」

 驚いて彼を見たら、目の前にいる。

 耳の横で彼が囁いた。私は息をのんだ。

「全部優しくしてやる。安心しろ」

 そう言うと、固まっている私の頬を撫でて、離れていった。

 まさか、そういうことなの?

 私の頭の中はどうしようという言葉で埋め尽くされた。