またもや驚いて彼を見た。聞いてないけど、まさか黒沢さんじゃないですよね。青くなった私を見て、辰巳さんは笑っている。辰巳さんはお相手を知っているのね、きっと。後でこっそり聞いてみよう。
ちょっと待って……。総帥が私を睨んでる。勘違いしないで下さい、違います、違いますよ。私は右手を左右に振ってジェスチャーで違うと総帥に示すと、横から手を引っ張られ、引っ張った人を見るとこちらを見ずに私の手を握ったまま彼の膝にもっていかれてしまう。辰巳さんがクスッと笑った。
「仕事も、プライベートも必ず結果を出すから、せめて半年待ってくれ」
総帥はため息をついて、私に言った。
「香月さん。崇は一年後をめどに総帥となる予定でいる。君はその重要な時期に秘書となる覚悟をしてここへ戻ってきたんだろうね」
私は総帥を正面から見て、震える声で答えた。
「全力で崇さんをお支えします。で、でも力不足になることもあるかと思います。そのときは辰巳秘書のお力も借りるかもしれません。どうぞよろしくお願いします」
頭を下げた。



