財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「今日からよろしくお願いします。何もわからないので全てご指導下さい」

「とりあえず、どういう風にやっていくか決めよう。前にもやってもらったことがあるが、午前中お前のために時間を空けたからそこへ座れ」

 そう言うと、私に向かってあれこれと細かく指示が出た。以前とあまり変わらないが、これからのお仕事の予定を聞いておく。

「さてと……父にはまだ挨拶してないな?」

「あ、はい……」

「辰巳とは連絡を取り合ってやることもあるだろうが、わからないことは辰巳にではなく、まず俺に聞くこと。いいな?」

「……そ、それは無理です。お席を外していることも多いですし、あの……」

「今までのやり方を変えながらお前を使いたいんだ。さっき言っただろ」

「あ、あの……」

「香月」

「はい」

「大丈夫だ。俺が付いてる。何も心配ない。それと出来なくても怒らないし、徐々に俺と形を作っていこう」

 笑顔を見せてくれた。正直嬉しい。私もほっとして笑顔になった。

「そうだ、その顔だ。お前は笑顔がいいんだ。俺もお前といれば無表情から離れられる。お互い無愛想を卒業しよう」

「はい……え?」