財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す


「ああ、大丈夫だ。何かあれば話があるだろうからそれに従えばいい。あと、スケジュールはお前のPCの共通に落としてある。確認しておけ。あとアポイント取るか迷っているところもリスト化してある」

「ありがとうございます。急いで確認してみます」

「ああ、じゃあな」

 私は急いで崇さんの部屋を片付けて、書類を入れた。スケージュールを確認し、到着を待つ。駐車場から連絡が入った。エレベーターホールに移動して彼を待つ。

「おはようございます」

 出てきた彼に頭を下げた。顔を上げるとほっとした表情を浮かべた彼が立っていた。

「おはよう……よかった。来たな。少し不安だった」

「さすがに約束は守りますよ。それに、あちらは完璧に引き継いだので、もはや私のいる場所はありません」

「そうか。短い時間でキチンと引き継いだんだな、さすが香月。俺もやっておいたぞ、ほら、お前の机があるだろ?」

 彼の部屋の隣の、秘書部屋を見せた。辰巳さんがいたところへ私の懐かしい机が移動していた。

「本当ですね。ありがとうございました」

 私は久しぶりの給湯室で念入りにコーヒーを入れると彼の前に出してお辞儀した。