ここの高校の体育祭は、近隣では有名だった。一人二競技の参加は絶対で、一日かけて勝敗を決める。競技は毎年様々で、生徒会が決めているらしい。
この高校の体育祭が人気な理由として、1つ他の高校とは違うところがある。
それが体育祭の最後に行う、『自由競技』だ。参加は自由で、何をやってもオッケー。去年はこの競技で告白して結ばれたカップルがいるのだとか。
そんなみんなに人気の体育祭がもう間近ということで、どのクラスもめちゃくちゃ張り切っている。もちろん、私のクラスも。
1軍女子、男子を中心に「絶対、勝つぞー」なんて円陣を組んでいるけれど、私はそれを自分の席から眺めているだけ。
そんなところに1人近づいてきた。
「……あのっ、蒼井、さん?」
「あっ、はい」
その子は少し笑いながら話しかけてくれた。
「そんな、きょどらなくていいのに。初めまして、坂木勝子です」
「あっ、えっと……。蒼井彩葉です」
「うん。知ってるよ」
そう言った坂木さん、しょうちゃんはいろいろなことを私に話してくれた。部活とか、体育祭のこととか。そして最後は生徒会の話。
なぜか瑛太君の名前を聞くたび、胸がトクンと音を鳴らして苦しくなる。
本当はもっと話したかったのに。昔のこととか、聞きたいことがたくさんあったのに――。
でももう会えないから。あったとしても、赤の他人のふりをしなくちゃいけないから。
「もう、話せないよね……」
「えっ?何か言った?」
「ううん、何も」
心で思っていたことが、そのまま口に出ていたみたい。
慌てて笑顔を作って、ごまかした。
2人で他愛のないことを話していると、私たちのところに先生がやってきた。
「蒼井」
「はい?」
この高校の体育祭が人気な理由として、1つ他の高校とは違うところがある。
それが体育祭の最後に行う、『自由競技』だ。参加は自由で、何をやってもオッケー。去年はこの競技で告白して結ばれたカップルがいるのだとか。
そんなみんなに人気の体育祭がもう間近ということで、どのクラスもめちゃくちゃ張り切っている。もちろん、私のクラスも。
1軍女子、男子を中心に「絶対、勝つぞー」なんて円陣を組んでいるけれど、私はそれを自分の席から眺めているだけ。
そんなところに1人近づいてきた。
「……あのっ、蒼井、さん?」
「あっ、はい」
その子は少し笑いながら話しかけてくれた。
「そんな、きょどらなくていいのに。初めまして、坂木勝子です」
「あっ、えっと……。蒼井彩葉です」
「うん。知ってるよ」
そう言った坂木さん、しょうちゃんはいろいろなことを私に話してくれた。部活とか、体育祭のこととか。そして最後は生徒会の話。
なぜか瑛太君の名前を聞くたび、胸がトクンと音を鳴らして苦しくなる。
本当はもっと話したかったのに。昔のこととか、聞きたいことがたくさんあったのに――。
でももう会えないから。あったとしても、赤の他人のふりをしなくちゃいけないから。
「もう、話せないよね……」
「えっ?何か言った?」
「ううん、何も」
心で思っていたことが、そのまま口に出ていたみたい。
慌てて笑顔を作って、ごまかした。
2人で他愛のないことを話していると、私たちのところに先生がやってきた。
「蒼井」
「はい?」