あとちょっとで転校初日が終わる。
最後は職員室によって行くだけだった。先生から保護者向けの紙とかをもらって終わり。
私は、朝と同じように職員室の前で待っていた。
そしたら出てきた。彼が。あの部屋から――。
目があい、思わず彼の名をつぶやいてしまった。
彼は私の声が聞こえたのか、首をかしげてこっちを見て少し微笑みながら話しかけてくる。
「あの時の、朝の迷子の人だよね。また会ったね」
私は突然のことに驚き、受け答えが全くできなかったけれど、脳は冷静だった。
――私、迷子の人って思われているのか。
私が慌てているときも、彼は屈託なく話しかけてくる。
「そういや、名前聞いてなかったね。なんていうの?」
――それはやばい。もし言ったら、私があの子だとばれてしまう。でも、言わなければ逆に変に思われる。

