『ピピピ、ピピピ――』

　時計から出る機械音で目が覚め、今だに慣れない部屋の中で体を起こす。

　ここに引っ越してきて、早一週間。

　今日は新しい学校に始めていく日。

　慣れない環境のせいか疲れが溜まってボーとしている脳を無理やり起こし、見慣れない制服に着替える。

　下に降りると『自分の転勤のせいで……』と申し訳なさそうに立つ母がいた。お母さんのせいじゃないよ、と心の中で思いながら朝食を食べ、出かける準備をする。

「行ってきます」

　母によると学校に着いたら職員室に行けとのことだった。

　門をくぐり、びっくりするほど大きい校舎と校庭を見渡す。そしてこのまま職員室へ直行……とはいかず、いらない好奇心が邪魔して学校を探検してみることにした。