いつか消えてしまう君と、ずっと消えない恋をした。


「初めまして、蒼井彩葉と言います。一年生です。よろしくお願いします」

「おう、よろしくな。――ところで、ちょっと待てよ」

 そう言うと突然その人は瑛太君の肩をつかみ、私とは反対方向に向かせた。

 そして二人で額を突き合わせ、何やらこそこそと話している。

「お前さ、あのこと彩葉ちゃんに言ったのか?」

「……言ってない」

「じゃ、知らないんだな。言わないほうがいいんだな?」

 その時の私は、二人がこんな会話をしていることを知らなかった。

 二人は話し終わったのか、くるりと突然こちらを向いた。無理に笑顔を浮かべながら。

「俺、奥村(おくむら)戒。瑛太と同じ三年で、副会長やっている。よろしくな」

「よろしくお願いします」

「よし、じゃあ挨拶もそのぐらいにして彩葉に説明しようか」

「説明?」

 そうだよ。ここまでが長すぎて忘れていたけれど、私が生徒会室入ったのも瑛太君から体育祭の説明を受けるためだよ。

「おっ。じゃあ、俺も一緒に聞いとくわ」

「お前は聞く側じゃなくて、説明する側な。……というかまず、仕事は終わったのかよ」

 瑛太君が友達とぽんぽんと言葉のキャッチボールをしている姿を見ていると、なぜか私も微笑ましく思えてきた。

 結局、奥村先輩も一緒になって体育祭の説明会が行われた。

 説明も終盤に差し掛かったころ、奥村先輩から突然質問された。

「そういえば、彩葉ちゃんは何の競技に出るの?」

 先生いわく、話を聞いておらずボーっとしていた私は当然のように記憶があやふやなわけで。

「あ、えっと……」

 そこに助け船なのかどうかわからない、瑛太君の一声。