今宵、甘い影に誘われて



一体どこ行くの……?


触れている手からじわりと熱が伝わってきて、ドクンドクンと鼓動が高鳴っていく。


エレベーターが最上階まで達すると、扉が開いた。


さ、最上階……!?

最上階って確かスイートルームじゃなかったっけ?

なんでそんなところに?予約してたのかな?


プチパニックになっている頭でグルグルと色々なことを考えながらひたすら足を動かす。

御影さんはある部屋の前で立ち止まると、胸ポケットからカードを取り出して扉にかざした。


――ガチャ。


扉が開く音がして彼は迷いなく、部屋の中へと入った。

空いている方の手でパチンパチンと部屋の明かりをつけ、そのままわたしをベッドにゆっくりと押し倒した。


ベッドに右ひじをついて、左手で器用にネクタイを緩めているけど、夜の空のように吸い込まれそうな瞳は熱を帯びており、逃さないとでもいうようにずっとわたしのことを見つめている。


さっきから自分の心臓の音がうるさすぎてどうにかなってしまいそう。