「二人ともすっかり仲良くなってるじゃん」
「そうですか?」
運転をしてくれている柴田さんとバックミラー越しに目が合う。
「御影が俺以外の相手にそんな感じで話してるの久しぶりに見たわ」
「久しぶり……?御影さんって他にも仲がいい人がいるんですか?」
こんな質問失礼だったかなって思うけど、御影さんの口から仲のいい人なんて柴田さんの名前しか聞いたことがないもん。
「おい、その話はいいだろ」
柴田さんの返答より先に隣から感情のない声が聞こえてきた。
「まあ、“いた”が正しいな」
その話しぶりからわたしはその人がもういないことを察した。
御影さんにとってあんまり思い出したくないこと聞いちゃった。
「すみません。余計なことを聞いてしまって……」
「別にお前は悪くないから謝るな。昔の話だし」
「そうですか……」
昔の話、か。
きっと御影さんはその人のことを今でも大切に想っているんだろうな。
その人は女性かな……?
女性だったら今でもその人のことが好きなのかな。
だから、わたしなんかと適当に結婚したのかな。



