「今からどこに行くんですか?」


「行けばわかる」



時刻は16時を過ぎた頃。

今日はパーティーが行われる当日。

そう、ついにやってきてしまった地獄の日。


地獄とは思ってるけど、正直久しぶりのパーティーだからちょっと楽しみにしてるんだ。

今日の日の為に毎日鏡の前で笑顔の練習をして、礼儀作法の記事も読み込んで最大限の努力はしてきたつもりだし。

それもあって昨日から緊張で全然眠れなかった。

なのに、急に仕事から帰ってきた御影さんに車に乗せられ、もう20分ほどが経つ。


行先を聞いても全然教えてくれないの。

行けばわかる、とかなんとか言って。


「ちょっとは教えてくれてもいいじゃないですか」


この1週間でかなり御影さんとは話せるようになった。

夜に部屋に行って二人きりで話をする時間を御影さんが設けてくれたからかもしれない。

……部屋を出るときに軽いキスをされるのはどういう意図があるのか知らないけど。



「めんどくさい」


「もー、なんでそうすぐ面倒くさがるんですか」


「パーティーだってほんとはダルい」



御影さんは仕事をすれば、敏腕なのに仕事をしていないときは大体こんな感じで面倒なことを嫌う。