「はあー、素直に心配だからって言えばいいのに。わざわざ仕事抜け出して帰ってくるのを待ってるくせに。御影も不器用だねー」
ため息交じりに言った柴田さんの言葉に御影さんは「うるせえ」とバツが悪そうにわたしから目を逸らした。
「え?」
心配ってあの御影さんが……?
単に御影家の人間が外をぶらぶらするのがよくないっていうことじゃなくて?
「あー、俺たち小さい頃からの付き合いなんだ。だから二人の時は大体こんな感じだから気にしないで」
「あ、はい」
ずいぶん仲が良さそうだと思っていたけど、そういうことだったのか。
「それにしてもこんな可愛い子が御影の奥様だなんて。ほんとにコイツでいいの?」
御影さんに“コイツ”といえるのはきっと柴田さんくらいだと思う。
他の人だったらきっと殺されてるよ。
「いや、あのむしろわたしみたいなやつですみません」



