ほんとにつぼみちゃんと帰りたかったし。
家までの道は地図アプリを見てなんとか無事に辿り着いた。
最近のアプリはとっても優秀なのだ。
「ただいま~~」
そう言いながらこの家に来た時に渡してもらったカードキーでドアを開けた。
カードキーを使うことに慣れていないからつい癖でカギを探してしまう。
それを御影さんに言ったらバカにされたんだっけ。
「おかえりなさいませ」
誰もいないから返ってくるはずがないのに返事が返ってきて驚いて声の先を見ると、スーツを着た若い男性が立っていた。
「え……誰ですか!?」
不法侵入?
怖い。どうしよう。
幸い、ここは玄関だから逃げようと思えば逃げられるけど……。
じりじりと後ずさりをしてドアを開けようとした瞬間、
「そんな怖い顔しないで。初めまして、御影の秘書をしております、柴田と申します」
と、にこりと人好きのする笑顔を浮かべて頭を下げてくれた。
御影さんの秘書……!?
そういえば、わたしが御影さんと出会った夜にこの人もクラブにいたような気がする。



