今宵、甘い影に誘われて



「無理無理。もう土曜日が来てほしくない。時間止まらないかな?」


「何言ってんの。そんなの無理に決まってるでしょ。ほら、そんなに心配なら黙って笑顔の練習でもしてな」


「わかった!今日から鏡の前で練習してみる」



他にも礼儀作法をネットで検索して、御影さんに恥をかかせないように、御影さんに少しでも相応しい妻になれるように頑張らなきゃ。



「はあ、ほんと素直で単純なんだから……まあ、そこが可愛いんだけど」


「え?なに?つぼみちゃん」


「何にもない。頑張ってね」


「ありがとう!元気出てきた!」


よし!こうなったら頑張るしかない!

見ててね。お父さん、お母さん、お兄ちゃん!


わたしは気合いを入れるためにグッと拳に力を入れて意気込んだ。



◇◆◇



帰りも送迎すると御影さんはうるさかったけど、今日は友達と帰りたいと言って断った。

御影さんはすごく不満そうな顔をしていたけど。