だから、つぼみちゃんにしか聞こえないような声で話すしかなかった。
「借金のために……。優生はそれでよかったの?」
すべてを聞き終えて、つぼみちゃんが心配そうに眉を下げて言った。
「うん、よかったと思ってるよ。御影さんもさ、最初は怖い人かなって思ったけどなんだかんだ助けてくれるし、優しい人なんだ」
みんなが恐れる御影家の当主。
でも、実際はいつもわたしに手を差し伸べてくれる優しい人。
ちょっと意地悪だけど。
「そっか。優生がそう思うなら私は応援する!言いそびれちゃってたけど、結婚おめでとう」
そう言いながら、つぼみちゃんがわたしの手を持って柔らかく目を細めて笑ってくれた。
「ありがとう……っ」
思えば“結婚おめでとう”なんて言ってもらってなかったなあ。
わたしには家族もいないし、誰からも祝ってもらえないと思っていた。



