「聞き間違いじゃないと思います」
「え、待って。ほんとに言ってる?え?え?」
つぼみちゃんはかなり混乱しているのか目を閉じて頭を抑えている。
うん、わたしも友達にいきなり同じことを言われたらビックリしてつぼみちゃんみたいな反応になると思う。
急に結婚して、しかもその相手は誰もが知る御影家の当主。
お金持ちがたくさん通うこの学園の人ですら、その姿を見たことのある人はあまりいない。
雲の上よりももっと上の存在の人。
いきなり、今をときめくトップ俳優やアイドルと結婚した、みたいな感覚なんだと思う。
「驚かせてごめんね」
「いや、それは大丈夫なんだけど……一体なんでそんなことになったの?」
「あの、それにはふかーい事情がありまして」
わたしは結婚に至るまでの出来事をすべて小声でつぼみちゃんに話した。
結婚したことはまだ伏せておかないといけないらしい。
1週間後のパーティーまでは。



