だから、車は完全に外から中の様子は見えないようになっているし、御影さんは車内でもサングラスをかけていた。
「なによ、それ。そんなの見るからに危なそうな人じゃん」
「いや、あの……昨日言えなかったんだけどね、わたし結婚したの」
つぼみちゃんの耳元に唇を寄せて、コソッと呟いた。
「え?」
「今まで言えなくてごめんね。すごく急なことだったから」
わたしですら、未だに信じられない現実を人に話すことができなかった。
だって、夢だったら怖いし。
「ええええ!?!?」
しばらくフリーズした後、つぼみちゃんの驚きの声が教室中に響き渡った。
わたしは慌てて、つぼみちゃんの口元を手で抑えた。
「つぼみちゃん、声が大きいよ……!」
「あ、ごめんごめん。で、相手は?」
「……御影さん」
「え?わたしの聞き間違いじゃなかったらとんでもない名前が出てきたけど」



