「どういうことってそのまんまの意味だけど」
表情を一つも変えることなく、さらりと言い放つ。
こんなにもドキドキしているのもどうせわたしだけ。
御影さんがわたしみたいなガキにドキドキするわけないよ。
結婚したのだって物珍しかっただけ。
「なんで手なんか……」
「んー、俺が繋ぎたいから」
「なっ……」
あんまり答えになっていないのにわたしの鼓動がトクンと甘い音を奏でた。
「優生は嫌?離したい?」
余裕そうな瞳がわたしを映して、コテンと首を傾げる。
また、こういうときだけ名前を呼ぶんだ。
嫌なわけがない。
ドキドキしてるけど、御影さんに触れられると嬉しさで胸がいっぱいになる。
「……離さないでください」
「あーほんと困るな。最初から離す気ねえよ」
御影さんはそう言うと、窓の外に視線を向けた。
ワガママだとか思われたかな?
でも、御影さんの指は細いのに大きくて男らしい手はとてもあたたかくて、その熱が移ったみたいにじわりと体が熱くなって甘く疼いた。



