でも、実際に住む世界が違うから仕方ないんだけどね。
わたしみたいなのに贅沢なんて必要ないし、きっと一生できない生活。
多額の借金を抱えている今ではもう普通の生活すらできない気がしている。
そう考えるとわたしの人生はかなりハードモードで笑えてくるな。
はあ、ともう何度目かわからないため息を零しそうになった時、
「そういえば、今日はあの方が初めて来店されるらしいよ!」
先程のヒソヒソ声とは打ってかわり、興奮気味に話す声が聞こえてきた。
いつの間にかわたしの話題から変わっていたみたい。
まあ、ああやって嫌味を言われることも嫌がらせをされることも慣れているから大丈夫。
わたしはこの数年で強くなったんだもん。
こんなことでへこたれてる場合じゃない……!
ちゃんと借金を返さないといけないのだから。
借りたお金はきちんと返す。それが人として当たり前のこと。
誰かを恨んでも仕方ない。



