今宵、甘い影に誘われて



やっぱり、ママから来ていたメッセージはそういうことだったのかな。

もし、あれが最後だったのなら寂しいな。


職場環境は正直最悪だったけど、ママに何にもお礼が出来ずに退職になってしまった。



「今日からお前は御影家の人間だ。御影家の人間がバイトをしてることが世間にバレたら品位に関わる」


「……そう、ですね」



そうだよ。
わたしは今日からもう“朝見”ではなく“御影”なんだ。

世間から人目置かれている御影家の人間がバイトをしているとなると大変なことになってしまうかもしれない。

でも、わたしたちが結婚したことなんて誰も知らないんじゃ……?



「というのは建前で単純に俺がお前をあの店で働かせたくないだけだけど」


「へ?」


「正直、品位とかどうでもいい。地位も名誉も興味ないし」



そう言いながら御影家当主である印のクリスタルリングをじっと見つめながら言う。

み、御影さんってそんなこと言うような人なの!?