今宵、甘い影に誘われて



痺れを切らしたように後頭部をガシガシと掻いて言う御影さんに「へ?」とマヌケみたいな声が出た。


そうしてるつもりってどういうこと?

早く出て行けってことかな?



「ほら、早くこっちに来な」


「えっと……お邪魔します」


「自分の家だろ」



いや、まあそうなんですけど。

相手は何せ誰もが恐れる“御影様“なわけで。

失礼のないようにしないと。

粗相なんかしてしまえば、借金を倍にして返せとかどこかに売り飛ばすぞとか言われかねないし。


恐る恐る部屋に足を踏み入れると、御影さんがずんずんこちらに近づいてきて、わたしの腕を掴んだ。



「え!?」



そのままベッドまで連れてこられるなり、わたしの後頭部を抑えながらそっと押し倒した。


視界いっぱいに御影さんの顔が見える。

男の人とこんな至近距離になったことがないわたしの心臓は尋常じゃないくらい速いスピードで動いていて破裂してしまいそう。


なんで押し倒されてるの!?