呆れたように言いながらスタスタと歩いてソファへと腰を下ろした御影さん。
そんなに顔に出てるかな……?
確かに昔からみんなに分かりやすいって言われてきたけど。
最近はマシだと思ってたのにな。
「早くこっちにおいで」
ソファをポンポンと軽く叩きながら御影さんがこちらを向く。
その瞳は相変わらず深い闇のように黒いのに声色は優しかった。
その声に引き寄せられるみたいにわたしは御影さんの隣にそっと腰を下ろした。
「き、今日からお世話になります」
「うん。じゃあ、まずこれにサインして」
御影さんはそう言いながらトントン、と机を叩いた。
彼が叩いた机の上には“婚姻届”と書かれた紙がペンと一緒に置かれていた。
「ほんとに結婚するんですか?」
もちろん、嘘だと疑っていたわけじゃない。
でも昨日の今日であまりにも現実味がなくて実感が湧かないだけ。
「俺が無駄な嘘つくと思う?」
「……つかないと思います」



