かと言っても、わたしはエリートでもないのでどうしたらいいかわからなくてアタフタしてしまう。
「あの……えっと……」
すると、わたしの様子を察したのか窓が開いて
「なに突っ立ってんの。早く乗って」
と、御影様がまた表情一つ変えることなく言い放った。
「は、はい!」
別に怒られたわけでもないのに背筋がピンと伸びて、すぐに後部座席へと飛び乗った。
飛び乗るとすぐに車はゆっくりと動き出した。
御影様がわたしに話しかけてくることはなく、車内には何とも言えない沈黙が流れる。
わたしの人生にはこれからどんなことが待ち受けているんだろう。
やっぱり、酷い事されるのかな。
覚悟はしていたけれど、不安や恐怖が消えたわけじゃない。
でも、ほんの少しで良いからわたしにも生きててよかったって思えることがあるといいなあ。なんてね。
◇◆◇
「着いた」



