「ねえ、あの子って借金しててここの給料だけじゃ足りないからって他で体売ってるらしいよ」


「え、あの体で?世の中飢えてる人は飢えてるんだね」


午後20時過ぎ。


クラシックのような音楽が優雅に流れる音が聴こえてくる場所で落ち着いた黒いシックなドレスを身に纏った女性とワインレッドのドレスを着た女性がヒソヒソと小さな声で話しているのが耳に届く。


それはきっと自分のことを指しているのであろう会話。


ううん、きっとじゃない。
100%、わたしの話。


彼女たちが話している会話の中身は半分嘘で、半分本当のこと。


18歳のわたしは親が連帯保証人になって、そのまま残していった借金……五千万円を抱えて生きている。


だけど、身体はまだ売っていないからそこは間違ってる。


まあ、もう否定するつもりもないけどね。


とんでもない負の財産を残して死んでくれたものだと思っているけれど、5年前のあの日に死ねなかった自分が悪い。