お母さん、お父さん、お兄ちゃん。
なんでわたしだけ置いていっちゃうの……っ?
会いたい。
会いたいよ。
そういえば、お兄ちゃんも生きていたら御影様と年齢で20歳を迎えられていたはずなのに。
かっこよくて優しくて頭もよかったお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃんが死んで、どうしてわたしなんかが生きてるんだろう。
今までずっと考えないようにしていたことが雪崩のように一気に心に押し寄せてきて、ぽたりと虚しい雫が床に落ちた。
泣いちゃダメ……こんなところで泣いたって何も変わらない。
ぐっと唇を噛みしめて涙を堪えながら一つ一つ、破片を拾ってお盆の上に置いていく。
「あんた御影様に逆らうなんて……」
「黙れ」
リアさんの怒りの含んだ声は、無機質で地を這うように低い御影様の声によって遮られた。
もうどうだっていい。
殺されてしまうならその方が幸せかもしれない。
「……お前、いくら借金あんの?」



