「ふっふふ~ん~~♪」



琉世さんと想いが通じ合ってから一ヶ月が経とうとしていた。

わたしが学校の準備をしながら気分よく鼻歌を歌っていると、



「下手くそな鼻歌」



隣から呆れたような声が聞こえてきた。



「耳に残るでしょ?」


「不協和音だな」


「そこまで言わなくてもいいじゃん」



むすっと膨れていると隣から手が伸びてきてわたしの両頬をむにっとつまんでくる。



「そういうとこも可愛いんだよな」



ちゅ、と短いリップ音を立てて唇にキスを落とすと何もなかったかのように先に出て行ってしまった。


朝から心臓に悪い……。


琉世さんは元々わたしには甘かったけれど、想いが通じ合ってからはさらに甘くなって困っている。

あ、もちろんいい意味でね。



「ちょっと待ってー!」



わたしはスクールバッグを肩にかけて琉世さんを追いかけて、いつものように車に乗り込んだ。



「おはようございます、優生ちゃん」