御影様の隣には彼の秘書かボディガードかはわからないけど御影様と同じ年頃の男性がニコニコと愛想のいい笑みを浮かべながら座っていた。
「ご注文いただいたドンペリゴールドになります」
両手でお酒を持ち、落とさないように慎重にテーブルの上に置く。
ふぅー、なんとか落とさずに持ってこれた……。
無事に持ってこれたことにほっと胸を撫で下ろしていると、中年の男性が御影様にペコペコと頭を下げて接待をしているのが視界の端に映る。
大人の世界も大変なんだなぁ。
自分よりもはるかに年下の人をもてなすなんて。
まあ、御影様は特別らしいからそりゃあ、ああもなるか。
なんて思っていると、突き刺さるほど痛い視線を感じてチラリと目線を上げると光の届かない海の底のような深い黒の瞳と視線がぶつかった。
え、なんでこっちを見てるの?
なんかダメなこととか失礼なこととかしちゃったかな……!?



