「……い……う……い……優生、起きろ」
心地の良い低音がわたしの鼓膜を揺さぶる。
それに加えて誰かがわたしの身体をトントンと叩いており、落ちていた意識が徐々に戻ってくるのを感じる。
「んー……」
ゆっくりと重い瞼を持ち上げると、そこにはまだスーツを着たままの御影さんが立っていた。
「起きたか」
まだぼんやりとしている意識の中で彼が言った。
数回、ぱちぱちと瞬きをする。
段々とはっきりとしてきた思考でわたしは御影さんの帰りを待っていたことを思い出した。
「あ!今何時ですか!?」
弾けたように顔を上げて、テーブルの上に置いてあるスマホの画面をタップする。
そこには“22:00”と表示されていた。
やってしまった……。
「……晴哉って誰?」
「え?」
寝落ちしてしまってうなだれているわたしをよそに御影さんがスマホに視線を向けながら言った。
ハルヤ……ハルヤ……誰だっけ。
寝起きで上手く回っていない頭を必死でフル回転させて呪文のように何度も名前を脳内でリピートする。
「あ、真田くん!」



