「ねえ、あんた御影様の花嫁とか言われてんだって?あたしのこと紹介してよ。どうせあんたみたいなやつすぐに捨てられるんだから」
勝ち誇ったような表情でわたしを見る彼女。
そんな彼女の言葉に胸が鋭利な刃物で引き裂かれたように痛む。
すぐ、捨てられるか……。
そうだよね。
この幸せなんて所詮偽りで、すぐに夢から醒めてしまう。
「何とか言いなよ。ていうか、御影様もこんなのを選ぶなんてセンスないよねー」
「み、御影さんのことは悪く言わないでください……!」
いつの間にかそんな言葉が口を突いて出ていた。
わたしのことはいくらバカにしてくれてもいい。
でも、こんなわたしを助けてくれた御影さんを悪く言われるのは許せなかった。
「はあ?うざいんだけど。どうせ金目当てのくせに」
女の子が眉を吊り上げて拳を振り上げ、ぎゅっと目を瞑った瞬間、「はい、そこまで」と誰かが女の子の手を掴んで止めてくれた。



