まあ、それでも行くのはわたしの役目だから。
つぼみちゃんには心配させたくないから言ってないけど、社会係になったときに相手の子に
『あんたの仕事なんだからずっと持って行ってね。借金あるくせに逆らうとかありえないから』
と言われたことをふと思い出した。
嫌なことを思い出していたからか視線が無意識のうちに落ちていてバンッと誰かとぶつかった。
バサバサッと廊下に散らばる色とりどりのノート。
「す、すみません……!」
急いでぶつかった人に頭を下げた。
わたしってば、何やってるんだろう。
「痛いなあ。謝って許されると思ってんのってあんた、噂の子じゃない?」
ぶつかった相手が悪かったのかばっちりメイクで目元をキラキラとさせた女の子が迷惑そうに眉をひそめた。
誰、だろう。
わたしはこの人のことを知らないけど、この人はわたしのことを知っているみたい。
「あの、すみませんでした」



