「いや、あの御影様が暇つぶしにしか思ってないような子を助ける人には見えないでしょ」
「でもさー……」
「本気じゃない相手をあんなかっこいい助け方なんて絶対しないって!」
そうやって興奮気味につぼみちゃんは言う。
わたしからつぼみちゃんにあの日のことを話す前にもう彼女は風の噂で知っていた。
つまり、全校生徒がわたしが御影さんと結婚したことを知っているということ。
ちなみにわたしにオレンジジュースをかけた女の子はこの学園から追放されたらしい。
御影さんはやると決めたら徹底的にするみたい。
わたしなんかのために申し訳ないなぁと思っちゃうけど。
「うーん」
「今の優生は時の人なんだよ。ほら、今日も御影様の花嫁を一目見ようと廊下に集まってるじゃん」
ちらり、と廊下に視線を向けるとわたしを見ながらヒソヒソとみんなが話しているのが目に入る。
「はあ……絶対、期待外れって思われてるよ」



