「じょ、冗談はやめてください……!」


「はい、アウト」


「えぇ……ちょっと……!」



一瞬にして彼は体制を変え、気が付いたらわたしを見下ろしていた。

まるで獲物を見つけた狼みたいなギラギラと熱のこもった双眸にじわりと身体の体温が上がる。



「俺がこういう冗談なんて言わないって知ってるでしょ」



口の端を斜めに上げながら彼はコテンを首を傾げた。

御影さんの髪の毛がさらりと揺れて、耳元を飾っているピアスが薄暗がりの中できらりと光る。

視線が絡み合っているだけで鼓動がキュンと甘く弾けた。


わたしはこの顔に弱い。
いや、もう御影さんに弱いんだ。



「あ、それともわざとだった?」


「なっ……違う!あれは!」


「はいはい。わかったからもう黙りな」


「んぅっ……」



そう言って強引に塞がれた唇。

深くなっていくキスに応えるように少し口を開けた。

すると、待っていたかのように入り込んできた熱に甘く脳が痺れていく。