山にあるホテルは塾が毎年貸切で取ってある。
フロントから鍵をもらって「また後で」と雅人くんに言われて各自部屋に向かった。
部屋は2人部屋で綾ちゃんと一緒だ。
荷物を置いて時間まで本を読むことにした。
しばらくするとノックの音がして綾ちゃんが到着した。
「立夏ー、着いたよ〜」
「お疲れ様」
「参った参った、お母さん、仕事遅れちゃったよ、きっと」
「ラッシュ時間だったから余計だね」
「うん、あっ準備しなきゃ」
勉強道具を持って部屋から出る。
「午後からの英語は立夏と部屋が違うから寂しいよー」
「勉強するだけだから大丈夫だよ、私なんて綾ちゃんとしか話せないのに」
「雅人がいるじゃん」
「そっか(笑)」
部屋に入ると雅人と隣に知らない男の子が座っていた。
「雅人、席決まってんの?」
「いや、自由」
「えっと…誰?」
人見知りをしない綾ちゃんが尋ねた。
「同室の相馬(そうま)くん」
「よろしく」
「綾です、こっちは立夏」
話すのが苦手なのを知ってるから綾ちゃんが紹介してくれた。
「相馬くんは名前?名字?」
「相馬は名字、名前は大介(だいすけ)」
「駅前塾じゃないのかな?初めて見る」
「この合宿だけ参加なんだ、それからどうするか決める予定」
「なるほど」



