スポッチャについて中に入ると予想通り人は多かった。
どこも混雑していて、私たちはとりあえずゲームをすることにした。
有名なカーゲームが運良くあいたので、三人で並んで対戦する。
レーサーの写真を撮るところで私は目を隠したけど、なっちゃんはピースを、秋山は真顔で撮っていて面白かった。
「ちょっと秋山甲羅ぶつけないでよ!」
「前にいるんだからしゃーないだろ!」
「だれだよこのバナナしかけたの!」
「え、ちょ、ハテナブロックにやられた!」
各々が画面を見つめながら叫びながらゲームをするのは楽しい。
「やったーー! 私の勝ちー!」
「まじかよ」
「えー実咲ちゃん早い~」
そして結果は、私と秋山の一騎打ちで、私が勝った。
万歳して喜ぶ私に、秋山はハンドルに項垂れていた。
「もっかいしよーぜ」
「ダメだよ待ってる人いるから」
白熱して気づいていない秋山に後ろに待ってる人がいることを伝え、その場を離れる。
「さっきのはマグレだろ」
「秋山、負け惜しみかっこわるー」
「なっ」
なっちゃんの一撃必殺に秋山が黙り込む。
秋山って案外負けず嫌いなんだな。
いつも冷めた感じでいたイメージだったからゲームで白熱するところを見ると、中学生の男子なんだなって思う。
その後は卓球とかバッティングとか色々したけれど、私は勝てなかったし打てなかった(運動が得意でもないし当然だけど)。
なっちゃんと秋山はそれなりに張り合ってて、お互いに勝ったり負けたり。
負ける度に秋山が悔しそうな顔をするので分かりやすくて面白かった。
「あー楽しかったー!」
スポッチャからでたなっちゃんは両手をあげて楽しそうにいった。
「楽しかったねー!」
私も同調していう。
久しぶりに心の底から笑った気がした。
それくらい楽しかった。この時間が終わらなかったからいいのにって思うくらい。
「スポッチャ初めてだったけどまたきたい」
「またこよ! 今度は大人数でも楽しいかも!」
「うん」
「UFOキャッチャー一回無料ここだって」
なっちゃんと笑いあっていると、出る時にもらったUFOキャッチャー1回無料券の場所についた。
「え、ふわうさだ!」
ふわうさはLINEスタンプで人気のキャラクターだ。
ふわふわの赤うさぎと黒うさぎがいて、手を繋いだ赤うさぎと黒うさぎのマスコットぬいぐるみがUFOキャッチャーの中に積み上げられている。
「実咲ちゃん好きだっけ?」
「うん!」
「じゃあ絶対とらなきゃね」
ファイティングポーズをしたなっちゃんに、私も頷く。



