大好きな君が勇気をくれたんだ

「じゃあ俺はこれで」

神田さんが戻った後、俺はもらった名刺を見つめながら芹那を待った。

親に話す場面を想像する。

うちの親はどちらもアナログ人間だから機械にはめっぽう弱い。

そのせいで俺がパソコンを買おうがコンテストに出ようがさして興味がないらしい。

親に自由にさせてもらっているのは嬉しいが、事務所の所属となると面倒なのは目に見えている。

「はぁ」

俺のため息は宙を舞って消えた。