牛島さんの父親が入院している病院は、ノースエリアを出てすぐ近くにある総合病院だった。

「家や職場から近いのもそうなんだけど、セキュリティやサービスの水準が高いから父を入院させることにしたんだ」

総合病院の外観を眺めながら牛島さんは言った。

病院のお世話になることがないからセキュリティもサービスも私にはよくわからない話だけど、ブティック店の常連客たちの会話や美世ちゃんの情報によると世界的に有名なドクターチームがいるとかいないとかって言ってたな。

私にはどうでもいい話だし、よっぽどのことがない限りはこの街の病院に関わることなんてまずないだろう。

病院の中に足を踏み入れると、エレベーターへと足を向かわせた。

牛島さんの父親は西棟の10階の病室にいると言うことだった。

エレベーターで西棟への渡り廊下がある5階へ降りると、そこから渡り廊下へと向かった。

さすが総合病院、デカいとしか言いようがない。