「お待たせ」

すでに準備を終えていた牛島さんに声をかけた。

牛島さんは上から下へと視線を動かすと、
「似合ってるな」
と、言った。

「えっ?」

まさかそんなことを言われるとは思ってもみなかった。

この後に控えている結婚パーティーのドレス選びに時間をかけたような男である。

明日は台風でもくるのか?

「パーティーのドレスとプライベートの服装に関しては話が別だろう。

俺はそのままの意見を言っただけだ」

私の頭の中を読んだのか、牛島さんはそんなことを言った。

「蓮司さんも褒める時があるんですね」

私が嫌味な感じで返事をしたら、
「時と場合があっていたら俺だって人を褒めるさ」

牛島さんは気づいているのかいないのか、そんなことを言った。