熱愛発覚中

私は自分の気持ちを落ち着かせるように口を開くと、
「わかった、妻の役を演じればいいって言うことね?」
と、言った。

「ああ、そう言うことだ」

私の返事に牛島さんは納得したようだった。

「それじゃあ、行くぞ」

牛島さんはそう言って私の手を引くと、会場へと足を向かわせた。

何か言ってくれてもいいじゃない。

あなたが選んでくれたドレスを着て、美しくメイクを施してもらって、キレイにヘアアレンジをしてもらっている私に、一言くらい何かを言ってくれてもいいじゃない。

憎まれ口をたたかれても怒らないから、今は何かを言ってくれてもいいじゃない。

少しくらいは“似合ってる”と言って褒めてくれたっていいじゃない。

牛島さんに向かってそう言いたかったけれど、やめた。