ゆきくんは言った
「きみは花柄を着る義務がある」

小さい頃からお花が好きだった
大好きなひまわり柄のワンピース

ねえ、ゆきくん。

わたしはグレーばかり着るようになってかなしみを背負って生きてきたよ

ねえ、ゆきくん。

わたしに花の義務を
くれてありがとう。

ゆきくんは言った
「きみは大好きなリボンやレースやフリルのブラウスを着ること」

ゆきくん。

わたしは安くて汚い色の服を着て
じぶんを罰してきたよ。

ねえ、ゆきくん。

ゆきくんは私を
幸せにしてくれるの、かな

ゆきくんは、言った。

「きみは自分の言葉で自分自身を汚すことはできないよ」

ゆきくん。わかる。

気づいたら私は
グレーになってるんだよ

ゆきくんは、言った

「きみは純真無垢な人だから、汚れたままでは生きるのが苦しいよ」

ねえ、ゆきくん。

私は汚れていくのですか

私は自分を守る術がありません

ゆきくんは、言った

薔薇が咲き乱れるあの丘へ
うさぎや鳥たち
妖精のお茶会に行ってごらん

きみの唇を美しい
言葉で満たしてごらん

きみの身体に優しさの
エプロンドレスをまとってごらん

君の腕に手作りの腕輪をつけてごらん

そうして君の中を、
白い光で満たしてごらん

ゆきくんの前にいるとき

わたしは真っ黒になっていたとしても
他人に真っ黒といわれても

ゆきくんの目には真っ白なのかな

わかんないや

ゆきのように真っ白なのは
ゆきくんだよ

ゆきくん、今日は
添い寝してくれるかな

ゆきくん、わたしの
人生に居てください
あなただけです。