飲み物を注文した。僕はコーラで早乙女さんはオレンジジュース。ストローでオレンジジュースを飲む姿でさえ、こんなにも可愛い。ただ、そんなことを考えている場合ではなかった。これだけじゃ、早乙女さんを誘った理由がただデートがしたいからになってしまう。早乙女さんはこの後バイトに行かないといけないらしいので、出来れば手短に藤原さんたちについて伝えたい。だが、どのようにして話をするのか、どのようにして伝えればいいのか、が分からずなんとなく気まずい時間はどんどん過ぎていく。やっと決心がついて話しかけようとしたその時だった。
「黒木くんさ、今日カフェ誘ってくれたのって、私に何か用があったんじゃないの?」
 核心を突かれた。今日は、早乙女さんに何度驚かされたことか。刺激の多い一日だと我ながらに思う。
「そうだよ。実はさ、」
出来るだけ動揺しているのを隠したつもりだが、隠しきれていただろうか。けれど、早乙女さんには、僕の動揺が伝わってしまった気がする。早乙女さんとの初の会話にドキドキしているが、その会話の内容はとても真面目だったので、素直に喜んでいいのか正直複雑な心境だった。 
 それから、藤原さんたちに虐められるかもしれないことを伝えた。早乙女さんは、あまり驚きもせず頷くだけだった。
「黒木くんはさどうすればいいと思う?」
早乙女さんの言動は、ひとつひとつ人をドキドキさせる。もうそんなことを思い始めた。ただ、どうすればいいかなんて分からない。守ってあげたいのが本音だけれど、守れる自身もない。過去一頭を使って考えていると、またあの綺麗な口が開いた。
「じゃあさ、黒木くんが私を守ってよ」