アンバランスなあたしたち

***


「ねえ、もう鼻歌歌わないの?」


 ウソでしょ。

 さっきあんなことがあったにもかかわらず、帰りもやっぱりあたしの横にピッタリ張り付いて離れない柊先輩。


「聞かれるってわかってて、歌ったりしません」

 そっけなく返すと、ふいっと顔をそむける。

「この前の、すごく上手だったのに。もう一回聞きたかったなあ。……そうだ。どうせなら、もっとおもいっきり歌いたくない? いい場所知ってるんだけど」

「……」

 柊先輩をチラッと見上げると、ニコニコしながらあたしのことを見下ろしていた。

「そんな顔をされても、知らない人についていったりしませんから」

 軽くニラむと、そのままスタスタと歩いていく。


 ほんとにもうっ。

 なんでこんなにイケメンって自信満々なんだろ。

 誰でも声をかけたらついてくると思ったら大間違いなんだからね。


「純粋に、君がちゃんと歌うのを聞いてみたかっただけなんだけど。……ダメ?」

 思いもよらない真剣な声音に、思わず足を止めて振り返る。

「ねえ。君が僕を避けるのはなんで? 僕のことが、キライだから?」