アンバランスなあたしたち

「茜ちゃんと知り合えて、本当によかった」

 つぶやくような声が隣から聞こえ、そっと柊先輩を見上げると、先輩と目が合った。

「……あたしもです」


 柊先輩に近づきすぎたのか、お互いの手がかすった途端、あたしたちはびくっと同時に手を引っこめた。

 少し触れただけなのに、心臓が痛いくらいバクバクしてる。


「……先輩、あのっ……」

 体の横で握りしめたあたしの手を、柊先輩の大きな手がそっと包み込む。


「大好きだよ、茜ちゃん」


 柊先輩のささやくような声が聞こえ、まるで体中の熱が顔に集まったかのようにアツい。


 こんな顔、絶対に見せられないよ。

 けど……ちゃんと伝えたい。あたしの気持ち。


「あたしも……大好きです。柊先輩の、意外とおっちょこちょいでカワイイところとか。スイーツをほおばって、幸せそうな顔をしてるところとか」

「それ、全然カッコよくなくない?」

 柊先輩が、ぷっと吹き出した。

「でも、そんな柊先輩のことが、あたしは大好きなんです」

「そっか」

「はい」


 柊先輩の手に力がこめられ、あたしもぎゅっとその手を握り返す。

 柊先輩の手は、あたしよりもずっと大きくて、ギターを一生懸命練習していた硬い手だった。



(了)