発表会終了後、生徒指導の先生から呼び出しを受け、こってり叱られたあたしと柊先輩——それに、あたしのお姉ちゃん。
「もうっ、あんたたちのせいで、わたしまで怒られちゃったじゃない。淳弥くんにも『やりすぎ』って怒られたし。あーもう、サイアク」
生徒指導室を出ると、ぶつぶつ文句を言いながらお姉ちゃんが去ろうとする。
「お姉ちゃん!」
「なに?」
お姉ちゃんが、面倒臭そうにチラッと振り返る。
「えっと……今日は、ありがとう」
「僕からも、お礼を言わせて」
そんなあたしたちをじっと見つめて、お姉ちゃんが大きなため息を吐く。
「樫木柊。妹泣かしたら、絶対許さないからね」
「なんだかんだ言いながらも、葵はほんと妹思いだよな」
そう言いながら、廊下の向こうから歩いてくるのは、小杉先輩だ。
「だって、全然口出しなんかするつもりなかったのに、グズグズ弱気なこと言い出すから、放っておけなかったんだもん」
「でもまあ、そんな葵だからこそ、俺は好きになったつもりなんだけど?」
「っ、もうっ! 人前で突然そういうこと言うの、ほんとやめてよねっ」
お姉ちゃんが、すぐそばまでやってきた小杉先輩の肩のあたりをぺしっとはたく。
……うん?