アンバランスなあたしたち

「ねえ、待ってよ、茜ちゃん。一体なにがあったの?」

 人通りの少ない路地に入ったところで、あたしを追いかけてきていたらいし柊先輩に腕をつかまれ、あたしは足を止めた。

「……ダメなんですよ。あたしみたいな子が、柊先輩みたいな人と一緒にいたら」

 柊先輩の方を振り向くこともできず、言葉が口からこぼれ落ちる。

「どういう意味? 僕は茜ちゃんといると楽しいよ?」

「『なんであんな子が一緒にいるの?』って言われて……あたしの現実を突きつけられるから……あたしがツラいんです。ごめんなさい。柊先輩はなにも悪くないんです」

 涙をこらえ、一生懸命笑顔を浮かべて柊先輩の方を振り返ると、柊先輩はつかんでいたあたしの腕をそっと離した。

「お母さんだって、お姉ちゃんのことしか見てなくて…………あたしは、全然ダメ人間なんです」

「自分のことをそんなふうに言わないで。茜ちゃんには、歌があるじゃない」

「……そんなものあったって、美人でスタイルもよくて、勉強もできて先生からの人望も厚くって……そんなお姉ちゃんには、一生かかったって勝てないんです」