アンバランスなあたしたち




 あたしががたんっとイスを倒しそうな勢いで立ち上がると、柊先輩がびっくりした顔であたしを見上げた。

「茜ちゃん、どうしたの?」

「あの……」

「あ、ひょっとして、茜ちゃんもこれ食べたくなっちゃった?」

 柊先輩が、今まさにフォークを突き立てようとしていたミニチュアサイズのブッシュ・ド・ノエルを指さして首をかしげて見せる。

「よかったら半分こしよっか。そしたら、もっといろんな種類のが食べられるし」

 そう言いながら、柊先輩がナイフでキレイに半分に切り分けてくれる。

「いえ、……あ、ありがとうございます」


 やっぱり帰りましょう、って言うタイミングを完全に見失っちゃった。

 あたしは、仕方なくもう一度すとんと腰を下ろした。


「うん、これすごくおいしい。茜ちゃんも食べてみてよ」

 柊先輩に満面の笑みを向けられ、切り分けてもらったブッシュ・ド・ノエルをそっと口の中に放り込む。

「あ、ほんとだ。おいしい!」


 ……もうここまで来ちゃったんだから、楽しまなくちゃソンだよね。

 開き直ったあたしは、次から次へとプチケーキを口の中に放り込んでいった。