アンバランスなあたしたち

 あんパンを食べて元気が出たあたしは、その後、柊先輩と文化祭の打ち合わせも兼ねて何曲か歌ったあと、帰り支度を済ませ、二人揃って教室を出た。

「あれっ、おっかしいなあ」

 教室のカギを閉めようとして、柊先輩がなんだか苦戦しているみたい。

「大丈夫ですか? ……って先輩。それ、どこのカギですか?」

「だからこの教室の……じゃないみたいだね」

 右手に持ったカギを掲げて、あははと柊先輩が照れ笑いする。


 あの大きさからすると、きっと自宅のカギなんじゃないかなあ。

 しかも左手にちゃんとここの教室のカギを持ってるし!


 柊先輩って、なんでもスマートにこなすように見えて、実はこんなふうに意外とおっちょこちょいなところもあって。

 この前なんか、「あ、間違えた」っていうつぶやきが聞こえて、なにがあったのかと思ったら、左右で違う色の靴下を履いてたの!

 放課後まで気づかないってどういうこと!? って思ったけど、授業中はきっと机で足元が隠れてたから、気づかなかったんだろうね。


「いいじゃないですか。オシャレに見えますよ?」

「……って言いながら、半笑いするのやめてくれる?」

 柊先輩が、あまりにも情けない顔をするから、思わず本気で吹き出しちゃった。

 でもね、こうやって意外な一面を見るたびに、なんだか柊先輩のことが気になって仕方なくなってきちゃって……。


 ううん。柊先輩は、お姉ちゃんの彼氏なんだから。

 それに、あたしとはスクールカーストが違いすぎる。

 だから……あたしが好きになっていいような人じゃないの。