けど、他の中学生に人気のバンドやボカロ、アイドルなんかと比べると、sumokkaの認知度はまだまだで、sumokkaを知ってるっていうだけで、なんだかうれしくなって、

「ひょっとして、先輩も好きなんですか?」

 なんて思わず前のめりで聞いてしまった。

「うん、この前の十周年記念コンサートに行くくらいには」

「えぇっ、あのコンサート行ったんですか!? いいなぁ。あたしも行きたかったぁ」

「そういえば、10月からのドラマの——」

「あ、知ってます! エンディングソングですよね。バッチリ録画予約してあります」

 あたしがニッと笑いながら親指を立てて見せると、先輩がふふっと笑う。

「こんなに話の合う子に会ったの、はじめてだよ」

「あたしもです。本当はもっとみんなに布教したいんですけど、なかなかうまくいかなくって」


 先輩との話に夢中になっているうちに、最初は頭の中で鳴り響いていた警戒アラートが、いつの間にか聞こえなくなっていた。