アンバランスなあたしたち

「まだそんなにうまく弾けないけど、sumokkaの曲なら、いくつか弾けるよ」

 ピアノの前に置かれていたイスをあたしの方に向けて座って、ギターを構えると、ジャンッと大きくかき鳴らした。

「ふわぁっ」

 思わずヘンな声が漏れるあたしを見て、柊先輩がにやりとする。

「じゃあ、これわかる?」

 そう言うと、もう一度構え直した柊先輩が、ギターを器用に奏ではじめた。

「あ、知ってます。その曲からあたし、sumokkaに入りました」

 数年前にやっていたアニメの主題歌で、小学校の給食の時間にもよく流れていた曲だ。

「ふふっ。僕もおんなじ」

 イントロが終わると、思わず歌詞を口ずさむ。

 チラッとあたしの方を見た柊先輩が、うれしそうな顔でさらにギターを大きくかき鳴らす。

 だからあたしもそれに負けじと大きな声を出す。


 き、気持ちいい~!


 それから何曲か一緒に歌い、バラードのサビの部分に差しかかったとき——。


「柊、ここにいたの」

 がちゃっとおもむろに防音室の扉が開き、びくっと肩が小さく跳ねる。


「……あなたたち。ここでなにをしているの?」


 恐る恐る入り口の方を振り向くと、眉をひそめた女性——多分、柊先輩のお母さんだ——が立っていた。