人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「ヴァイオレット様、とっても綺麗です！」

アイリスが頰を赤らめ、はしゃぎながら言う。ヴァイオレットは恐る恐る鏡の前に立ち、自分の姿を確認した。そして、その姿に本当に自分なのかと疑ってしまう。

「これが、私……？」

純白のドレスには数え切れないほどのパールが散りばめられており、ドレスにはロングトレーンが付いていて、レース素材のロングトレーンには繊細な刺繍が施されている。

ランカスター家でメイドをしていた頃は、髪は仕事の邪魔にならないよう素早く結んで纏めていただけだった。しかし、アイリスの手によって銀色の髪は複雑な編み込みがされ、髪につけられたビーズやスパンコールが施されたベールは部屋の照明に当たるたびに光を放っていく。

「何だか、私じゃないみたいだわ」

メイクも施され、いつもとは違ったように見えてしまう。そんなヴァイオレットに、アイリスが「そろそろお時間ですよ」と微笑みながらブーケを手渡す。ドーム型になっている可愛らしい薔薇のブーケだ。

「私、おかしなところはないでしょうか？不安です」

ヴァイオレットはアイリスに訊ねる。こんなに着飾ったのは初めてで、豪華なドレスなど似合っているとは思えなかったのだ。不安でいっぱいになるヴァイオレットに対し、アイリスは笑いながらヴァイオレットの手を引く。

「そんなに不安にならなくても、ヴァイオレット様は世界一綺麗な花嫁ですよ」