どうして掴めないのかヴァイオレットが首を傾げていると、イヴァンが声を上げながら指を差す。イヴァンが指差す先を見ると、そこには森の奥深くに生息しているはずの妖精たちがいた。妖精たちが手を動かすと、雪の結晶が生まれていく。

「幻の雪の結晶というわけですか……」

ヴァイオレットの瞳が大きく見開かれる。イヴァンから借りたある本の存在を思い出したのだ。

「イヴァン様、何を調べるべきかわかったかもしれません」

ヴァイオレットがそう言うと、イヴァンは犬が飼い主に甘えている時のような声を出し、ヴァイオレットの肩に顔を擦り寄せた。